技術イベントの企画設計|成功への4ステップ
イベントは、ノリや勢いだけで準備すると高確率で失敗します。参加者が本当に欲しい情報を提供しつつ、自社の狙いも達成するためには、設計段階からの型化が不可欠です。
1. 技術イベントは「誰に参加してほしいか」で成否が決まる
イベント成功の第一歩は、「どんなエンジニアに参加してほしいか」を明確にすることです。
たとえば「Webアプリエンジニア」と一口に言っても、現場メンバーとマネージャー層では求める学びが大きく異なります。さらに「新規プロダクト開発の経験を積みたいのか」「組織づくりに関心があるのか」といった興味・関心によっても響くテーマは変わります。
ここで有効なのが、「職種 × 職位 × 関心テーマ」の三軸でターゲットを設計する考え方です。
- 職種:サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、データエンジニア、インフラエンジニアなど
- 職位:メンバー、リーダー、マネージャー、経営層など
- 関心テーマ:技術スキル向上、チーム立ち上げ、開発効率化、先端技術の活用など
この三軸を掛け合わせることで、「どのような人にとって価値のある場にするのか」が具体化されます。
たとえば「サーバーサイドエンジニア × リーダー層 × 開発効率化に関心」というペルソナを想定すると、テーマは「高速開発を支える設計ノウハウ」や「開発チームの効率化事例」といった切り口になります。
つまり、「誰に届けたいか」をここまで具体化することで、イベントの内容は格段に“刺さる”ものに変わるのです。
さらに採用ブランディングを目的とする場合は、もう一つ整理しておきたいことがあります。
それが、「イベントを通じて、参加者の自社に対する認識をどう変えたいか」です。
例えば、
- 「堅いSIerという印象」から「先端技術に挑戦できる会社」へ
- 「技術より事業主体の会社」から「エンジニアが技術選定に関われる会社」へ
- 「自分とは縁のない大企業」から「面白いエンジニアがいる会社」へ
といった変化です。
技術イベントの目的は、その場で応募してもらうことだけではありません。
ターゲットとなるエンジニアが現在持っている企業イメージと、イベント後に持ってほしい企業イメージの差分を設計することが重要です。
2. 企画書の作り方|棚卸しからテーマ設定、タイトル案へ
ターゲットが定まったら、次は「企画書」として形に落とし込みます。ここでは、単にイベント概要を書くのではなく、採用ブランディングの観点で必要な要素を整理しチームで共有できる基盤を整えることが大切です。
まずは以下の項目をテキストで棚卸ししてみましょう。
- ターゲット:職種/職位/関心テーマ
- 実施目的:このイベントで解きたい自社課題
例:認知度向上、特定職種との接点づくり、カルチャー理解の促進など - 実施形式:講演、パネルディスカッション、他社とのコラボなど
- ゴール設定:定量と定性を両面で定義
定量:集客数、満足度、アンケート回答率 ほか
定性:認知・共感・理解の状態定義 ほか - ペルソナ:代表的な人物像を簡潔に言語化
- ターゲットの興味:知りたい論点・習得したいスキル
- 提供する学び:開示可能な知見・実装ノウハウ・失敗談
これらを踏まえて、設定したイベントテーマや切り口と企画概要の整合を確認しましょう。
ターゲット・目的・提供する学びがテーマに反映されていれば、企画の軸がぶれにくくなります。
整合がとれていると判断できたら、次のステップとしてイベントタイトルのたたき台を作成してみましょう。タイトルはキャッチーさよりも「誰向けか」「何が学べるか」が一目で伝わることが大切です。
最後に、ここまで整理した内容を実際の企画書として形に落とし込んでいきましょう。
企画書は登壇者や関係者との共通言語にもなるため、「目的」「ターゲット」「ゴール」「学びのポイント」を端的にまとめておくことが重要です。
以下に、サンプルとしての企画書フォーマット例を紹介します。
企画書のフォーマット例
イベント名:『新規プロダクト開発時のスピード開発×安定運用の両立ポイントを考える会』
実施目的:
来年度に複数の新規プロダクト開発を予定しており、リードエンジニアの採用を強化したい。一方、ターゲット層からは自社について「新規開発より既存システムの運用が中心」というイメージを持たれている。
そこで技術イベントを通じて、実際の新規開発事例や技術選定の考え方を発信し、「新しいプロダクトを技術面からリードできる会社」という認知形成を目指す。
定性ゴール:
イベント後のアンケートで「XX社には新規プロダクト開発に挑戦できる環境がある」と回答する参加者を増やす。
実施形式:自社単独講演
ゴール:技術イベントを採用ブランディング施策として実施する場合、「何人集まったか」だけでなく、参加者の認識がどう変わったかもゴールに含めます。
定量:集客数50名、満足度4.3以上(5段階平均)、アンケート回答率30%以上
定性:
- イベント前後の企業認知・印象の変化
- 「もっと会社について知りたい」と回答した割合
- 関連コンテンツへの遷移
- 次回イベントへの参加
- カジュアル面談・採用情報への接続
ターゲット:リードエンジニア(バックエンド開発経験3年以上 × リーダー経験あり)
ペルソナ:組織マネジメントよりも開発の方が好き。新規プロダクト開発に従事しており、スピード感ある開発と安定運用の両立に悩んでいる。
ターゲットの興味:
- 新規プロダクト開発時の運用を見越した技術選定や仕様検討のポイントを知りたい
- スピード感を持ちながらアジャイル的に改善する際の留意点を把握したい
提供する学びポイント:自社の新規プロダクト開発経験を振り返り、運用後のトラブル事例やスピードを上げる工夫などを公開する。
開催形式のバリエーション
目的やターゲットに応じて、開催形式を柔軟に選ぶことも企画段階の大切なポイントです。
- 自社単独イベント
- 外部企業とのコラボイベント
- 講演セッション形式
- パネルディスカッション形式
- LT形式
- 大喜利形式
- ハンズオン
- ライブコーディング
- アイデアソン/ハッカソン など
形式を工夫することで、同じテーマでも参加者体験を大きく変えることができます。
3. 企画書と趣意書の違い|登壇者を動かすための工夫
イベントを設計するうえでよく混同されるのが「企画書」と「趣意書」です。どちらも必要ですが、役割が異なります。
- 企画書:イベント施策の共通認識をとるための資料。人事・広報・経営層など社内関係者と「なぜやるのか」「どんな成果を目指すのか」を揃えるために使います。
- 趣意書:登壇依頼の際に使う資料。開発メンバーやゲストに「なぜ自分に声がかかっているのか」を理解してもらい、安心して協力してもらうためのものです。
そのため、企画書に記載している内容だけでは不十分です。
趣意書では、登壇者の立場に立ち、依頼に必要な情報を明確にすることが大切です。
趣意書に盛り込むべき内容の例
登壇のご依頼背景
例:来年度に予定している新規プロダクト開発に向け、リードエンジニア採用を強化しています。今回のイベントでは、現場でのリアルな経験を共有いただき、候補者に自社の魅力を伝えたいと考えています。
イベントの目的
例:候補者に「新規開発に挑戦できる環境がある」と理解してもらい、採用母集団の形成につなげる。
依頼したいこと
例:ご自身の経験をもとに「高速開発と安定運用の両立」というテーマで30分の講演。
イベントターゲット
例:リードエンジニア(バックエンド経験3年以上 × リーダー経験あり)
イベントタイトル
例:『新規プロダクト開発時のスピード開発×安定運用の両立ポイント』
イベント概要
例:新規プロダクト開発で直面するスピード感と安定性の両立について、実務経験から得られた知見を共有いただきます。参加者は「具体的な設計の工夫」や「チーム運営のポイント」を学ぶことができます。
タイムスケジュール
例:
19:00〜19:05 オープニング
19:05〜19:35 ご講演
19:35〜19:55 質疑応答
19:55〜20:00 クロージング
その他留意事項
例:講演資料は社外公開前提。参加者からの質問はSlidoやQ&A機能で受け付けます。
さらに、趣意書を展開したあとは登壇者との打ち合わせが重要です。
特に重要なのは、登壇者に「会社の採用PRをしてください」と依頼しないことです。
技術イベントで参加者が期待しているのは、会社説明ではなく、現場で得られた技術的な知見や経験です。
そのため人事・採用担当者の役割は、登壇者に企業の魅力を語ってもらうことではありません。
現場エンジニアが持っている経験や失敗、判断、工夫の中から、ターゲットに価値のあるテーマを一緒に見つけることです。
結果として、そのリアルな技術経験を通じて、「この会社には面白い仕事がある」「こういうエンジニアと働いてみたい」という企業理解につながります。
4. 資料作成で意識すべき3つの成功ポイント
最後のステップは、登壇内容を資料に落とし込む段階です。ここでの工夫次第で、参加者にとっての理解度や満足度が大きく変わります。
採用ブランディングを目的にイベントを開催すると、つい「会社の魅力をたくさん紹介したい」と考えてしまいます。
しかし、企業紹介や求人情報を前面に出しすぎると、参加者からは「採用説明会だった」と受け取られ、技術イベントとしての価値が弱くなります。
自社の魅力は直接説明するのではなく、実際の技術課題や意思決定、失敗、改善のプロセスを通じて伝えることが重要です。
特に意識したいのは次の3点です。
ストーリーテリング
スライドを単なる情報の羅列にせず、起承転結の流れを意識して構成します。参加者が自然と引き込まれ、学びを整理しやすくなります。
透明性
成功事例だけでなく、失敗談や試行錯誤のプロセスも率直に盛り込みましょう。リアルな体験があることで、参加者の共感と信頼を得やすくなります。
学びのGive
自社アピールを前面に出すのではなく、参加者が「明日から活かせる」知見やノウハウを優先して提供することが大切です。
この3つを意識した資料は、参加者にとって実務に直結する価値を持ち、イベント後の「また参加したい」という意欲にもつながります。
テーマ設計のコア|「人・技術・環境/待遇・組織・事業」の5軸
イベントの集客や満足度を大きく左右するのは「テーマ設定」です。
漠然とした題材では人は集まらず、内容が薄ければ参加者の満足度も下がります。
そんなときに役立つのが、私たちが実際に使っている5つの切り口です。
【人】CTOや著名エンジニアの発信は最強の集客フック
外部への影響力を持つCTOや著名エンジニアが在籍しているなら、その存在自体が強力な集客フックになります。
もし社内に該当人材がいなければ、ゲスト登壇をオファーするのも有効です。
また、自己研鑽の取り組みや「AI時代のエンジニア生存戦略」といったテーマは幅広い層の共感を呼びやすい切り口です。
「外に出していきたい社員」を戦略的に登壇させ、セルフブランディングを後押しするのも採用ブランディングの一環になります。
【技術】技術選定や実装プロセスは鉄板テーマ
アーキテクチャ設計、技術選定、実装プロセス、本番運用後の改善などの具体的な話は、「明日から使える学び」として強い関心を集めます。
多くのエンジニアが自分の現場で直面するケースと重ねやすく、壁にぶつかったときの乗り越え方を知りたいというニーズに直結しているからです。
【環境や待遇】働く環境を見せることでリアルな魅力を伝える
評価制度、リモート勤務、開発スペック、研修制度など、働く環境そのものをテーマにすると、参加者は「自分の働き方と合うか」を具体的にイメージできます。
とくに日常的に直面する働き方のリアルは共感を呼びやすく、候補者の参加動機にも直結します。
【組織】体制やカルチャーを共有して共感を醸成する
意思決定プロセスやチーム体制、社内ハッカソンなどの文化をテーマにすると、「ここで働いたらどうなるか」を具体的に想像してもらえます。
単なる制度説明ではなく、日常のカルチャーや開発における思想やスタンスが伝わると、強い共感を得やすい切り口です。
【事業】ミッションや挑戦を語り共感を引き出す
「なぜこのサービスをつくっているのか」「どんな社会的インパクトを目指しているのか」を語るテーマは、事業そのものへの共感を生みやすい切り口です。
技術的な挑戦と組み合わせることで説得力が増し、採用ブランディングにも直結します。
この5軸を使えば、「何をテーマにすべきか迷う」状態を避けられます。社内の小さな工夫や課題意識が、候補者にとっては大きな共感ポイントになります。テーマ選定の視点を持つこと自体が、採用ブランディングを強化する第一歩です。
どの軸を選ぶべきかは、「自社が伝えたいこと」ではなく、現在の採用課題から考えます。
例えば、次のように整理できます。
| 採用課題 | 選びやすいテーマ |
|---|---|
| どんなエンジニアがいるか知られていない | 人 |
| 技術力・技術的な挑戦が伝わっていない | 技術 |
| 働き方やキャリアへの不安がある | 環境・待遇 |
| 開発カルチャーが伝わっていない | 組織 |
| 事業会社としての魅力が伝わっていない | 事業 |
実践的なテーマの探し方
テーマが見つからない場合は、まず社内にすでに存在する情報から探してみましょう。
- 過去の技術ブログや登壇資料を見る
- 社内勉強会・研修資料を見る
- エンジニアに「最近苦労したこと」を聞く
- 開発ロードマップや技術戦略から探す
- 社内Slackなどで盛り上がっている話題を探す
- 外部イベントや技術コミュニティで関心が高いテーマと比較する
特にイベントテーマになりやすいのは、「うまくいったこと」よりも「難しかったこと」です。
「なぜその技術を選んだのか」「何に失敗したのか」「どう乗り越えたのか」といったプロセスには、その会社ならではの知見が表れやすく、エンジニアにとっても学びになります。
こうした観点を意識することで、「テーマが見つからない」という状況を避けられ、参加者に刺さる題材を効率的に設計できます。
TECH PLAY支援事例|技術を入口に、転職潜在層との接点をつくったトヨタ自動車
エンジニア採用における技術イベントの役割は、イベント参加者をその場で採用選考へ誘導することだけではありません。
例えばトヨタ自動車では、モビリティカンパニーへの変革を進める中で、ソフトウェアエンジニアの採用を強化する必要がありました。
一方で、ソフトウェアエンジニアから見たときに、「トヨタでどのようなソフトウェア開発が行われているのか」が十分に知られていないという課題がありました。
そこでTECH PLAYでは、採用説明を前面に出すのではなく、実際の技術や開発現場の知見をテーマにしたイベントを継続的に実施しました。
ポイントは、「トヨタへの転職に興味がある人」を集めるのではなく、「イベントで扱う技術テーマに興味があるエンジニア」を集めたことです。
技術を入口にすることで、それまでトヨタを転職先として意識していなかったエンジニアとも自然な接点をつくることができます。
イベントを通じて、
- 「トヨタでもこれほどソフトウェア開発に取り組んでいるのか」
- 「こうした技術課題に挑戦できるのか」
- 「こういうエンジニアが働いているのか」
といった理解を少しずつ形成していきます。
これは、技術イベントが単なる集客施策ではなく、候補者が持つ企業イメージを変える採用ブランディング施策として機能する例です。
技術イベントを企画するときは、「自社の何を伝えたいか」だけではなく、
- 「どんなエンジニアに来てほしいか」
- 「その人は今、自社をどう見ているか」
- 「イベント後にどんな会社だと思ってほしいか」
まで整理しておくと、テーマや登壇内容を設計しやすくなります。
事例記事はこちら:トヨタ自動車株式会社の支援事例
イベントページ設計|参加意欲を高める“見せ方”の鉄則
イベントページは単なる開催案内ではありません。
多くの候補者にとって、イベントページがその企業との最初の接点になります。
ここで重要なのは、会社の魅力を説明することよりも、「このイベントは自分に関係がある」「時間を使って参加する価値がある」と思ってもらうことです。
企業名や採用メッセージを前面に出すのではなく、ターゲットが抱えている課題と、イベントで得られる学びを中心に設計します。
タイトル作成|“学び”と“悩み”に直結する言葉を使う
タイトルはキャッチーさよりも具体性が重要です。「対象者」「技術」「学び」が伝わることに加えて、エンジニアが日々直面しているシーンを言葉にするのが効果的です。
抽象的なコピーではなく、「〇〇の裏側」「△△の実践知」のように話す中身を想起させる構造にすると、参加意欲が高まりやすくなります。
例えば、
NG
- XX株式会社 エンジニア採用イベント
- XX社のDX戦略とエンジニア組織について
では、すでにその企業に興味がある人にしか届きにくくなります。
一方、
テーマ起点
- レガシーシステムを止めずに刷新するために、開発チームが選んだ3つの判断
- 生成AIを本番プロダクトに組み込んで見えた、精度・コスト・運用の壁
など、エンジニア自身の課題や関心からタイトルを設計すると、まだ企業を知らない層にも参加理由が生まれます。
採用ブランディング目的の技術イベントほど、「企業名よりも学びを主役にする」ことが重要です。
概要文|背景→内容→学び→対象者の流れで共感をつくる
概要文は、参加者が「このイベントは自分のためだ」と思ってもらえるかどうかが勝負です。以下の流れで整理すると読み手に届きやすくなります。加えて、ストーリーテリングを意識し、親しみやすい言葉で書くことで申込みハードルを下げられます。
背景:なぜ今このテーマなのか?
業界の変化やエンジニアが直面している課題に寄せることで、参加者が「自分も同じだ」と共感しやすくなります。
内容:このイベントでは何を語るのか?
セッションで扱うテーマを端的に示し、抽象的な言葉ではなく「アーキテクチャ設計のリアル」「生成AI活用の実装ノウハウ」など、具体的にイメージできる表現を心がけます。
学び:参加するとどんな気づきが得られるのか?
「明日から試せるヒントが得られる」「壁に直面したときの乗り越え方が見える」など、エンジニアの技術的好奇心やキャリア意欲を刺激する一文を入れると効果的です。
対象者:どんな人に来てほしいのか?
職種やスキルなどのハードスペックだけでなく、「まさに同じ課題に直面している方」といった状況や「技術に興味がある方」といった志向性も記載すると、参加者が自分ごと化しやすくなります。
タイムスケジュール|プログラムで参加イメージを具体化
タイムスケジュール欄は、単に時間を並べるだけではもったいない部分です。ここは参加者に「時間を確保してでも聞きたい」と思わせる、強力なフックになります。
セッションタイトル:発表内容を端的にまとめつつ、キャッチーさを意識しましょう。
例:「高速開発を支える設計ノウハウ」や「生成AIを活用した開発効率化の裏側」など、具体的でイメージしやすい表現が効果的です。
詳細欄:セッションの中で取り上げるトピックスを、できる限り具体的に記載しましょう。
例:「実際の障害対応事例」「運用を見据えたアーキテクチャ選定のポイント」「チーム効率を改善した工夫」など。
こうした工夫を加えることで、タイムスケジュールは単なる時間割から「参加者の期待感を高めるコンテンツ紹介」に進化します。
イベントバナー|ビジュアルで印象に残す
イベントバナーは視覚的に印象が残りやすく、クリック率向上に効果的です。
可読性と視認性
イベントタイトルやイベント実施日程などの情報は、ユーザーが申込みの決め手となる重要要素のひとつです。見やすい・読みやすい・分かりやすいを意識しましょう。
ロゴの掲載
企業ロゴやブランドロゴなどを掲載することで、イベントの信頼性が向上し、申込率向上に繋がります。
パッと目を惹くビジュアル
ユーザーが思わずクリックしたくなるような、視覚的な印象に作用するビジュアルに仕立てましょう。
タグ設定|TECH PLAYの検索性を活かすキーワード選び
TECH PLAYでは通常のキーワード検索に加えて、タグ検索でイベントを探すことができます。
実際にTECH PLAYでグループを作成したり、イベントページを公開したい方は、「TECH PLAY でグループを作ってイベントをはじめよう」を参考にしてください。
申込アンケート|期待を把握し満足度に直結させる
申込時にアンケートを設けることで、参加者が「このイベントで何を得たいのか」を事前に把握できます。進行に反映すれば当日の満足度向上に直結し、事後の改善材料としても役立ちます。
アンケート設計の具体的な考え方や設問例は、第5章で詳しく解説します。ここでは「期待を把握し、次の企画や改善につなげるために必須の仕組み」と捉えておけば十分です。
ページづくりは「告知」ではなく「設計」です。ターゲットに合わせて、タイトル・概要・タグ・登壇情報・アンケートを戦略的に組み立てることで、イベントの成果は大きく変わります。
集客・運営・事後施策|成果を最大化する実務ポイント
良い企画やページができても、集客と運営、そして事後施策が伴わなければ成果は出ません。ここからは、私たちが現場で実践しているノウハウを紹介します。
集客戦略|25日以上の期間と施策設計で母集団を形成
集客は「日数」「推移の傾向」「チャネル活用」「改善サイクル」の4点を押さえることが重要です。
集客日数を考慮する
イベント集客では、公開から開催まで十分な期間を確保することが重要です。
TECH PLAYでのイベント運営では、おおむね3〜4週間程度の集客期間を確保するケースが多く、短期間で集客しようとすると、タイトルやページを改善する時間、追加の告知施策を実施する時間が不足しやすくなります。
特に重要なのは、公開して終わりにしないことです。
申込数やページ閲覧数を見ながら、
- ページ自体が見られていないのか
- 見られているが申し込まれていないのか
を分けて考えます。
集客推移の傾向を押さえる
申込は初日〜2日目にピークを迎え、3日目以降は鈍化する傾向があります。施策は集客中盤に仕掛けると効果的です。
集客チャネルを多角的に活用する
イベントプラットフォームでの周知に加え、SNS投稿、広告、プレスリリースなどを組み合わせることで集客数を最大化できます。規模や予算に応じて選択しましょう。
集客開始後はデータを見て改善する
申込数の推移をウォッチし、伸び悩んだ場合はページをテコ入れします。
- PVが少ない場合:タイトルやバナーを改善(簡潔・魅力的・具体性/可読性・ロゴ・目を惹くビジュアル)
- CVが少ない or CVRが低い場合:概要文や登壇情報を改善(目的明確/対象意識/具体的内容/魅力訴求、キャッチーで具体的なタイトル)
当日運営|成功のカギは事前準備にあり
採用ブランディング目的のイベントでは、当日の司会やクロージングにも注意が必要です。
イベントの最後に突然長い会社説明や求人紹介を始めると、それまでの技術コンテンツで得た好印象を損なう可能性があります。
採用情報を案内する場合も、
- 「今回のテーマに関連するプロジェクトについて、さらに知りたい方はこちら」
- 「登壇者のチームや開発組織について紹介しています」
といった形で、参加者の興味の延長線上に次の情報を置く方が自然です。
イベント運営資料/台本の作成
定型フォーマットを活用し、進行の流れを可視化しておきましょう。
登壇資料の事前レビュー
レビュー項目やチェックプロセスをあらかじめ整理して決めておくことで、登壇内容のクオリティを安定させられます。
イベント運営体制の検討
司会・タイムキーパー・サポートメンバーの体制を事前に設計しておくと、トラブル発生時にもスムーズに対応できます。
盛り上げの工夫
アイスブレイクを設けたり、チャット・投票機能を活用したりして双方向性を作ると、参加者のエンゲージメントが高まります。
事後施策|イベント参加者をすぐ「応募者」にしない
技術イベントで接点を持ったエンジニアの多くは、必ずしも転職活動中とは限りません。
そのため、イベント終了直後に求人案内だけを送るのではなく、参加者の興味に合わせて次の接点をつくることが重要です。
例えば、
イベント参加
↓
登壇資料・アーカイブ動画
↓
関連する技術記事
↓
別テーマの技術イベント
↓
社員・開発組織のコンテンツ
↓
カジュアル面談・採用情報
という流れです。
イベントをきっかけに自社を知った人が、転職を考えるまで数カ月、場合によっては数年かかることもあります。
だからこそ、「今すぐ応募してもらえるか」だけでイベントの成果を判断せず、継続的に接点を持てる候補者層が増えたかを見ることが大切です。
また、イベントで得られたアンケートや質問は、次のコンテンツ企画にも活用できます。
「もっと詳しく知りたい」と回答されたテーマを次回イベントにする、質問の多かった論点を技術記事にするなど、イベントを一度きりの施策ではなく、継続的な情報発信の起点として活用しましょう。
事後アンケートの回収と分析
イベント中や終了直後に案内を送り、翌日にリマインドすることで回答率が高まります。「満足度」「印象に残った学び」「改善点」を必ず聞くようにしましょう。
申込者/参加者データの整理
申込数・参加数・参加率などの定量データを整理すると、集客施策の効果検証ができます。
登壇者・運営チームとの振り返り
登壇者のフィードバックや、運営体制の改善点を短時間でも共有することで、次回の質が上がります。
ナーチャリング施策につなげる
イベント参加者に関連コンテンツや次回イベントを案内することで、継続的な関係構築につながります。
アンケート設計や振り返り改善の具体的な方法については、第5章で詳しく解説します。
集客・運営・事後施策をひとつの流れとして設計することで、単発イベントを「次につながる資産」に変えることができます。採用ブランディングの武器としてイベントを活かすには、このサイクルを繰り返すことが欠かせません。
まとめ|技術イベントは「採用説明会」ではなく、企業理解のきっかけをつくる場
エンジニア採用における技術イベントの目的は、単に参加者を集めることでも、その場で応募者を獲得することでもありません。
まだ自社を転職先として認識していないエンジニアに対して、技術や現場の知見をきっかけに接点をつくり、「面白い技術に取り組んでいる会社だ」「こういうエンジニアが働いているのか」「この環境なら自分も挑戦できそうだ」と企業への理解を少しずつ深めてもらうことが重要です。
そのためには、イベントを開催する前に、
- 誰に参加してほしいのか
- その人がどんな課題・関心を持っているのか
- 現在、自社をどのように認識しているのか
- イベント後にどんな会社だと思ってほしいのか
- そのためにどんな学びを提供するのか
を整理する必要があります。
その上で、自社が伝えたいメッセージを一方的に発信するのではなく、参加者にとって価値のある技術知見や経験として届けます。
そしてイベント終了後も、技術記事、動画、次回イベント、社員・プロジェクト紹介などへ接点をつなぎ、候補者との関係を継続していきます。
技術イベントは一度きりの採用施策ではなく、転職潜在層との接点をつくり、企業への認識を時間をかけて育てる採用ブランディング施策です。
イベントを企画する際は、「何を話すか」を考える前に、まず「誰の、どんな認識を変えたいのか」から整理してみてください。
より詳細を知りたい方へ
本記事では「TECH PLAY -Branding Method-」第4章の内容を中心に解説しました。
全編をまとめた資料をダウンロードいただければ、採用ブランディングの全体像をより体系的に理解し、自社施策に活かすことができます。
次回は「第5章:技術イベントの振り返りと改善」を解説します。