QAの重要度への理解が低い日本の現状

ーー2022年4月に株式会社デジタルハーツのエンタープライズ事業部門が独立する形で誕生したAGESTですが、改めて、貴社の事業内容と強みについてご紹介ください。
山田:弊社はエンタープライズ向けのQA(ソフトウエア品質保証)専門企業です。品質コンサルティングから、戦略、テスト設計、実行までワンストップで行なっています。また、受託開発部門もありますので、例えば、マイグレーションしてプラットフォームを変えるご提案もできます。
強みとしては、技術力の高さです。「先端品質テクノロジーで、すべてのDXに豊かな価値と体験を」というビジョンの通り、「品質のプロ集団」として、先端品質テクノロジーで、世の中の品質課題に向き合っています。技術力で勝負することで、競合他社様との差別化を図っています。
そして、テストエンジニアの育成にも力を入れております。先端品質研究機関「AGEST Testing Lab.」や先端教育機関「AGEST Academy」を設立し、著名な研究者や教授陣と連携しながら最先端の品質テクノロジーを探求しています。社内のエンジニアもここで生まれたカリキュラムを学習することで、QA・ソフトウェア・インフラ・セキュリティの各分野において戦略的なスキルアップを実現しております。

ーー貴社が感じる現在のQA業界の課題感を詳しく教えて下さい。
山田:高度化・複雑化が急速に進むITシステムの世界で、QAの重要度は日に日に増しています。例えば、資産情報や個人情報、位置情報など守られるべきものを品質として担保しなくてはなりません。
しかし、日本のSIerの中には、QAの重要性への認識が低い会社も散見されます。開発の現場でも、いわゆる「作ってリリースして終わり。あとは保守で改修していく」という風習が長年ある状況です。もちろん、初期品質にこだわっていて、自社で明確な品質ラインを保有してるSIerもいらっしゃいますが、まだまだ少数派です。
その背景の一つとして、これまでウォーターフォール型の開発が一般的だったことが挙げられます。ウォーターフォール型開発だと、テストを実施するのは、一番最後の工程になります。そのため、テストをしたところで後戻りできず、結果は次の開発に活かすしかなかったのです。
本来は、設計や要件の段階から品質を担保するべきであるのに、この認識がなかなか広がらない。エンジニアもQAの重要性はわかっていても、作ることに興味がある方がほとんどです。弊社は、この価値観自体を変えていきたいのです。
ただし、「品質担保の重要性」を声高に叫んでしまうと、品質を気にせずITシステムを使うことが当たり前なユーザーにとっては、逆に不安を誘うことにもなりかねません。だからこそ、開発者とユーザーには違ったアプローチが必要です。QA専門業者がいるからこそユーザーには使用する上での安心感を届けたいし、開発者には安全に開発を進められる安心感を届けたいと考えています。
ブランディング効果も期待し、TECH PLAYを導入
ーーTECH PLAY導入も、QAの認知を変えたいという目的があったからでしょうか?
宮原:そうですね。やはり導入の一番の目的は、QAの認知向上でした。エンジニアの方からすると、まだまだ「テストは新人がやる作業」というイメージで止まっていることも多かったです。
さらにもう一つ、AGESTとしてのブランディングの目的もありました。TECH PLAYを導入した2022年は、弊社がデジタルハーツのいち事業が独立したタイミングでした。そのため採用の場面でも、弊社に対してデジタルハーツの強みであるゲームデバッグのイメージを持たれることも多々ありました。
テックカンパニーとして弊社の認知を高めたい、そしてコロナ禍という情勢からウェビナーが目的達成に一番有効かと思い、導入しました。

ーー数あるウェビナーのサービスの中で、TECH PLAYをお選びいただいた理由は?
宮原:集客力です。そもそも企業の認知が無い状態からイベントを開催するので、きちんと集客力があるプラットフォームを使うことが適切だと考えていました。しかも、TECH PLAYに登録されてるエンジニアは勉強熱心な方々なので、明確に我々が接触したいターゲット層にぴったりだったのです。
採用の現場でも、TECH PLAYが武器に
ーーTECH PLAYを導入されたことによる成果もお聞かせください。
宮原:「TECH PLAYを見てAGESTに興味を持って応募した」という候補者の方が数人いらっしゃいました。
また、TECH PLAYのアーカイブ動画により当社の新たな一面を知り、理解を深めたことで、候補者の方から「志望意欲が高まった」という声もいただきました。実際に、一次面接を終えた方に対して、二次面接官が登壇したTECH PLAYのウェビナー動画を紹介したところ、当社への意向が上がり、入社につながったこともあります。正直、動画を見るまでは他社様への意向が強かったらしいのですが、ウェビナーの内容に共感してくださったようです。
元々弊社は転職エージェントさん経由での採用が多いのですが、転職市場でもQAの認知度が低いと痛感しました。また、エンジニアではない人事側が魅力を訴求するにも限界があります。いわゆる「語り部」になれる方がいない分、入社意向を上げる点では苦戦していました。
そういった問題点をもTECH PLAYは解決してくれました。テックカンパニーとしての認知度がまだ低い中で、TECH PLAYという武器がひとつ増えた感覚です。

山田:実際、新卒採用の場面でも学生の方がTECH PLAYを見て弊社に興味を持ったという場面が増えています。インターンシップに来る学生の方も「とりあえず単位のため」ではなく「QAを学びたい」という意識が高い方が多く、もしかしたらTECH PLAYのアーカイブ動画の効果もあるかもしれません。
宮原:これまでTECH PLAYで行なった3回のウェビナーでは、毎回定員を増やしていたくらい集客があり、「QAの重要度の認知」「AGESTとしてのブランディング」という課題には良い影響を与えたと感じています。
また、TECH PLAYはただプラットフォームだけを提供するだけではなく、担当者がウェビナーの企画から実施まで伴走してくれた点も、大変心強かったです。プロフェッショナルな知見を提供していただき、そこに弊社が伝えたいことを加えたことで、効果のある良いウェビナーづくりができたのではないかと感じます。
今後は、QAとしてのキャリアイメージの解像度を上げていく
ーー技術広報・採用広報として、次に取り組みたい課題はありますか?
宮原:「QAに憧れを抱いてもらう」という点です。今までTECH PLAYのウェビナーに参加していただいたエンジニアの方々との交流機会を増やし、QAを仕事にすることへの理解を高めてもらいたいですね。
そのため、これまでの認知のフェーズでの、ある意味主観的な視点ではなく、いかに「働きたい」と思っていただけるかという、求職者側の視点をもっと持たなくてはならないと感じています。
ーー現在、TECH PLAY以外では、どのような広報活動に取り組んでいますか?
宮原:最近は採用SNSを活用して社員インタビューの情報発信を強化しています。開発エンジニアからQAエンジニアへとキャリアチェンジして活躍されている方や長年QAに従事していているスペシャリストな社員など、様々な方にフォーカスすることで、求職者の方により共感を抱いていただくことを目的にしています。
QAの重要度の認知向上と並行して、「QAエンジニア」を開発エンジニアのネクストキャリアの選択肢として捉えてもらえるように推進しています。
QAスキルが上がる体験を作り、最終的に採用にもつなげたい
ーーでは、TECH PLAYに求めることはありますか?
山田:エンジニアがTECH PLAYに集まる理由は、コンテンツを見たい・ウェビナーを予約したいという理由以外に、新しい発見をしたいという理由もあると思います。だからこそ弊社も、エンジニアの方にいかに「これは見逃せない」というコンテンツを提供できるかが勝負だと思います。
例えば、普段弊社が接点のない企業様とのセッションなどは、リアルイベントならばできるのかなと感じます。セッションのテーマでエンジニアの方を引き込んで、新たな発見を与えることで、弊社の採用にもプラスになるのではないかと感じました。

ーー今後の技術広報・採用広報について、どんな戦略をお考えですか?
山田:引き続き世の中のエンジニアに向けたQAの認知活動は続けつつ、その上でクライアントとエンジニアの両者に対し、AGESTへの信頼感を向上させていきたいです。クライアントにはAGESTがいることでの開発における信頼感を持っていただきたいし、エンジニアには、AGESTでキャリアを積むと将来安心だという信頼感も感じてほしいということです。そういったプラスの感情を持ってもらうための事例発信と、コンテンツ・体験設計をしていきたいです。
「この体験をすれば、自分のレベルが上がる」というコンテンツや体験を作り、多くのエンジニアの方にQAスキルを学んでほしい。そして最終的にはAGESTに憧れを持っていただき「一緒に働きたい」と思ってもらえたらと考えています。
宮原:QAエンジニアの道を極めることをキャリアの選択肢に含んでもらいたいし、最終的には「それならばAGESTで」と思っていただきたいですよね。
山田:世の中のソフトウェアの品質を高めるために、高いQAスキルを持つエンジニアを増やしたいと思っているので、広報としてもそのためのコンテンツを作っていきたいです。そのエンジニアの意識改革の中で、弊社を思い出していただき、最終的に採用につなげていきたいと考えています。