知名度を上げるためには、他社とは異なるアプローチをするべき

―― 初めに、アバナードの強みや他社SIerとの違いを教えてください。
杉本:アクセンチュアとマイクロソフトの戦略的合弁企業会という会社の成り立ちが示すとおり、最先端技術に携われる点が、他社のSIerとの大きな違いです。マイクロソフト社は、まだ研究段階の最先端技術にもアンテナを張って、いち早く投資をしています。例えば、スタートアップ企業を買収したり、出資をしたりというように。よって、弊社は必然的に最先端技術に携われる環境が整っているのです。
そして、最先端技術・情報に触れて働けるということは、社内には卓越した知識を持つ、所謂"ギーク"が沢山いる環境で働けるということです。例えば、仕事とは別で最先端のAIを自分で作っている人や、勉強会に毎週足を運んでいる人や、自分でエンジニアコミュニティを主宰している人など。テックに関して貪欲に、そして前向きにのめり込んでいる人材が多くいることは強みですね。イノベーションは、面白い人材同士の化学反応で生まれますから。だからこそ「IoTで醸造するテックビール」「ビリビリクイズマシン」などのコンテンツも生まれました。
――たしかにTECH PLAYでも、個性的なコンテンツを発信いただいている印象です。
僕自身、長くソフトウェア業界にいるからこそ感じるのですが、弊社には、伸びている会社独特のエネルギーが溢れています。「テックビール」や「AI判定型ビリクイズマシン」の構想は僕ですが、それに対し「面白い! やってみよう!」と即座に実行に移す人がいます。また最近は、こども園で起きているバスの閉じ込め事故を解決するシステムを発案する人もいました。アバナードは、「世の中の課題を解決したい」「面白いことをしたい」という熱量をすぐに形にできる人が集まる場所なのです。

――そのような特徴的なコンテンツを発信されている意図を教えてください。
アバナードの知名度を上げるためです。普通の発信をしているだけでは有名企業の中で埋もれてしまいます。弊社のようなまだ知名度に伸びしろがある企業が目立つためには、尖ったコンテンツが必要だと思っています。
とは言え、弊社の基本業務はクライアントワークです。通常業務とは別に、面白いコンテンツづくりもどんどん推進することで、社内の熱量が高い人材のガス抜きにもなると感じています。
情報は発信する人に集まる。エンジニアの技術発信はマスト
―― 積極的に技術発信をすることは、広報的な役割とは別にエンジニアにどんなメリットがあるのでしょうか?
情報は発信する人に集まってくるものです。最先端の情報をキャッチして勉強しなければならないことはエンジニアならわかっていることです。では、その情報をどうキャッチするかというと、やはり自分も情報発信側になるしかないのです。情報発信をすると、社外の面白い技術者にも出会えて、さらなる化学反応も生まれます。
僕自身、生成AIの最先端情報を共有する「Generative AI勉強会」の運営に携わっています。そこでも、5年前に英語版しかなかったChatGPTに目を付け、個人で日本語を再学習させていた方や、自動運転レースの実用化に向け、自力でバーチャル空間を作っている方など、技術力が高く、クリエイティブな発想をした人が続々と集まっています。そして、そういった方とアバナード社員が出会い、お互いを刺激し合う、そんな環境が生まれているのです。
今後、情報を発信する人としない人の差はこれからもっと広がっていくと思います。当たり前ですが、情報発信をしなければ誰も自分を見つけてくれません。情報を発信する側が、コミュニティを運営する側に回ることで、エンジニアの成長にもつながりますし、常にトレンドの最先端にいることができるのです。

―― ちなみに「Generative AI勉強会」も、アバナードの認知を高める活動に繋がっている部分はあるのでしょうか?
繋がっていると感じます。現在第4回まで開催したのですが、オンライン・オフライン合わせて毎回200〜500名の集客がありました。そこで僕はアバナードの会社説明をしたことはないのですが、Generative AI勉強会に参加しアバナードを知って応募してくれた人もいます。認知獲得の意味で、オウンドメディアでの発信、イベントの開催、コミュニティの主宰といった、様々な角度からの情報発信が必要だと思います。
オウンドメディア以外にアーカイブ動画があることで、技術者との接点が増える
――現在アバナードでは、どのような技術発信の場を設けていますか?
基本的にはTECH PLAYと技術ブログです。また、定期的にリアルイベントにも参加しています。直近で言うと、7月にそなエリア東京で、災害用点字ディスプレイの紹介をしました。これは「建物の構造」「近隣の避難経路」「災害時の対応」「避難する人の障害の状態(目が不自由、耳が不自由など)」等を予めプロンプトで前定義やチューニングしたChatGPTと点字ディスプレイを組み合わせることで、対話型で災害情報提供と避難経路の案内ができるサービスです。
例えば盲ろうの方が1人で周囲にサポーターがいないという状況下においても、状況把握と避難経路支援をすることができます。今後は、逐一変化する最新の災害情報や避難経路を限りなくリアルタイムに情報を集めて避難誘導につなげられるようにしていきます。

――今回の点字ディスプレイとChatGPTの組み合わせも、他にはない新しいコンテンツだと感じました。
もちろん課題意識が先で生まれたシステムですが、災害時に使えるテック技術は誰もが関心がある領域ではあります。社会課題×最先端技術は、情報発信という意味でも成功しやすいコンテンツなのだと感じますね。
――では、技術発信の場として、TECH PLAYをお選びいただいている理由も教えてください。
TECH PLAYで発信することの最大のメリットは、動画をアーカイブしていただけることだと感じています。公式YouTubeチャンネルは有りますが、それだけでなく、TECH PLAYにアーカイブがあることで、弊社を知らない技術者との接点が増え、偶然弊社を見つけていただける機会も増えます。また、ユーザーは完全無料で有益な情報を得ることができるという点も、世の中のメディアのトレンドを押えていると感じています。
―― TECH PLAYでの発信による採用効果も感じていただけていますか?
正確な数字は出していないのですが、候補者から「TECH PLAYを見てアバナードを知った」という話を聞くことはあります。弊社は親会社との違いの説明が難しいのですが、TECH PLAYのアーカイブ動画を見ていただくことで、理解してもらえることがありますね。
エンジニアの技術発信から、会社の"物語"が生まれる

―― かなり意欲的に技術発信をされていますが、課題を感じる部分はありますか?
まだまだ世間の方にアバナードを知ってもらうきっかけが少ないと感じます。自由な発想大歓迎の面白い会社なので、そういった面をもっとアピールしていきたいですね。
今後、アバナードでは社員全員が情報発信をする企業にしていきたいです。そうすれば、会社としてのブランディングにもなりますし、物語も生まれるはずです。
―― 現在、エンジニア採用を積極的に行っていますが、どういった方がアバナードに向いていると思いますか?
自分の"やりたいこと"があって、良い意味でアバナードを使いながらそのテーマを追求できる方です。逆に命令を待っているタイプの方は合わないかと思います。
「こんなことをしてみたい」と思っているだけではなく、まず実行してみて、その取り組みを発信してセルフブランディングしていく方は、どんどん活躍できます。情報発信のツールとしてTECH PLAYもありますしね。
また、日本法人の代表取締役の鈴木はエンジニア出身です。だからこそ、技術者が働きやすい環境が整っています。社員の"やりたいこと"への理解も深く、AI時代に必要なコンピューティングリソースの購入検討を即断することができるようなそういった方がトップに居るので、弊社はまさに技術者天国だと感じます。
―― 今後、どのような技術発信をしていく予定ですか?
トレンドが廃れないうちに、ChatGPTや生成AIの様々なコンテンツを作っていきたいと思っています。
また、今年はテックビールを使ってオクトーバーフェスト(ビールの醸造を祝うお祭り)を開催予定です。テックビールは、構想や企画に賛同した様々な企業が独自に制御装置を開発して参画し、原料となるシロップは皆同じものを使いながらコンピューター制御だけで味を変える仕組みです。各企業が自社のテックビールを持ち寄り、GitHubを見ながら「美味しい理由はこのコードなのか」「ver0.9の方が美味しい」といった会話を生みたいですね。